言語化能力を高めたい理系

理系のおっさんが言語化能力を高めていくプロセスの可視化

コミュ障の理系が言語化能力を高める作戦

困った

わしは理系のおっさんである。言語化能力がクソで困っている。

ウン十年のキャリアで、理系分野の論文や、研究予算を獲得するための 中身の伴わない 提案書はたくさん書いてきた。たまに大学生を相手に講義をして90分喋り倒すこともある。

こうやって場数を踏んできてわかったことがある。

俺は言語化能力が低い。

もう少しスペシフィックに言うと、所属するコミュニティの外側に向かって表現する力が弱い。仕事の仲間内に対しては、簡潔かつ明瞭に言いたいことを伝えられている一方で、一歩外に出ると会話が通じないのである。異業種の人と会食してもいまいち話がはずまない。

俺のような、コミュ力が低い人間はたいてい次のようなサイクルに陥る。 話が理解されない→焦る→もっと話そうとする→煙たがられる→なんとか好感を持ってもらおうと焦る→もっと話そうとする→負の無限ループ

この結果、話が長いおじさんになる。説得力をもたらす表現力が無いものだから、論理的に話を詰めて納得させようとしているわけだ。すると、自然と話がダラダラと長くなる。切れ味が無い。

そのくせ、人の話を聞くことよりも、意見を言いたいという欲求が強い。話下手だが、話すのが好きなのだ。

これは実に困った状況だ。認知能力が衰えて自制心とメタ認知力が無くなった時、意見を言いたいという欲求が剥き出しのままで出てしまうことだろう。それは、俺が(そして世界が)大嫌いなタイプのおじさん、すなわち話がつまらないのにやたらと話したがるおじさんになってしまうことを意味する。

戦略

どうやったら、この運命から逃れることができるだろうか?

金太郎飴のような自己啓発本を多読した結果、コミュ力を高めるのは次の二点をクリアするゲームであることがわかった。 A. 面白くなれ B. 表現力を身につけろ

Aは適度な意外性を発揮しろということである。「風が吹くと、桶屋が儲かるんだってね。理由を知りたいかい?」というわけだ。例えば、先ほどはてブを見たら、西原理恵子が炎上していた。もし、この炎上が近年のインフレ傾向から説明できるとしたら、その理由を知りたくないだろうか?多少長くても、その説明を読んでしまうと思う。

Bは、その面白いことを、適切な構成とフレーズで表現する力だ。起承転結にするのか、結論ファーストにするのかといったことが構成だし、「スペシフィック」というルー語を使うべきか「特定の」という日本語にすべきかといったワーディング(これもルー語)の選択は、フレーズの選択に相当する。

自分の場合は、特にBが泣きたくなるほど弱い。

冒頭でスペシフィックという単語を使ったのは、本当に日本語が思いつかなかったのである。スタートアップの人が、カタカナ語やアルファベット3文字(IPO、ROI、KPI・・・)を使わないと会話が成立しないのと同じ現象だ。コミュ力の不足により、やむなくルー大柴になってしまうということだ。無念すぎる。

作戦

凡人(以下)の人間が上達するには、上手な人を真似するのが一番であろう。守破離の守だ。 そこでしばらくは、「うまいな」と思う人の書き方をそっくり真似て、炎上中の 話題になっているニュースについて書いて書いて書きまくってみようと決めた。

中身はすっからかんで良い。着眼点や論理の厳密性は後回しだ。上手い人の構成や表現の分析と、それを(まるで写経するように)真似する。それだけである。気の利いたことを言うことが目的ではない。